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マウイ、アップカントリーの日常の魅力

ハレアカラ高原地帯のクラ、マカワオ、ケオケアを散策
~ローカルが愛するアップカントリーの風景がマウイ旅行の新たな魅力に~

0611_012.jpg  ビーチのイメージが強いハワイの中で、爽やかな空気に満ちた高原地帯はまだあまり知られていない場所のひとつ。マウイ島の「アップカントリー」と呼ばれるハレアカラの斜面西側には、昔ながらの佇まいを残した趣きある町が点在しており、地元の人々の暮らしぶりに触れることができる。ちょうど春先から6月にかけてはジャカランダの花が開花し、季節ならではの楽しみも演出している。今回は、ハレアカラ山頂をめざす観光ツアーでは素通りしてしまいがちな、アップカントリーの小さな町の散策のポイントを紹介する。

 

アップカントリーでお花見を

0611_021.jpg  アップカントリーとは、マウイのハレアカラ山中腹に点在する地域の大まかな名称で、どこからどこまでというはっきりとした区切りはない。一般的に人々がいうのは、放牧地が広がるクラ、ケオケア、マカワオ、そしてマカワオからハレアカラ山に向かってのびる地域、オリンダ周辺までを指すことが多いようだ。クラ周辺は真夏でも涼しい高原気候。午前の中頃から夕方まで、どんよりとした雲でおおわれるのが、このあたりの気候の特徴となっている。この日陰のおかげで、農作物や生花がマウイの強い日差しから逃れることができ、よく育つことでも知られている。

 この季節、アップカントリーの風物詩となっているのが、ジャカランダの花々だ。日本ではあまり見かけないが、世界三大花木ともいわれ、この木が植生する世界の各地では"春を告げる花の木"として親しまれている。アップカントリーの開花時期は年によって異なるが、満開時期は4月から6月にかけてとなっており、桜の花に比べるとずっと長く楽しめるのが特徴だ。開花には2つのパターンがあり、葉と一緒に開花する場合と、桜の木のように花だけ先に開花するものがある。これは、その年によって変わり、同じ木でも花の付き方が毎年違うこともある。満開期は2週間ほど続き、いったん花が散った後もすぐに2回目の花をつける木が多い。とはいえ、2番目の開花は最初の開花ほど豪華ではない。

 地区によって標高差が400メートル以上あるアップカントリーでは、最初に標高500メートルあたりのプカラニ、マカワオ、ローアークラ周辺から開花がはじまる。ジャカランダの花の紫のかたまりが民家の庭先や、ハイウェイの脇からのぞきだしたら、春のはじまりなのだ。プカラニを過ぎてハイウェイ37号線を南に13キロほど、また377号線を10キロほどのあたりがジャカランダの見どころとなっている。もちろん、標高の高い山頂へ向うほど開花時期は遅い。

 日本の桜のように集中的にジャカランダの木を植えて、"お花見"を楽しむ習慣がないマウイでも、この時期は島の各地から"お花見ドライブ"を楽しむ人たちや、スケッチを楽しむ人たちが大勢アップカントリーを訪れる。アップカントリーのあちこちで大小さまざまなバザーや、春の祭典などの催し物が開催され、賑やかな雰囲気だ。この季節に訪れる場合はぜひ、イベントをチェックしておくとよいだろう。ハワイ州観光局(HTJ)やマウイ観光局のホームページなどでも案内されている。


アーティストの町、マカワオ

0611_031.jpg  マカワオはアップカントリー最大の町。といっても、歩いて回って1時間もかからないほどの大きさだ。ここは、19世紀後半にアメリカ大陸からやってきたポルトギー(祖先はポルトガル人)と呼ばれるパニオロ(ハワイ語でカウボーイ)たちの町だったのだ。その面影が残る今のマカワオは、カウボーイの町というよりアーティストの町と呼んだ方がふさわしいだろう。マカワオの街が動き出すのは遅く、朝8時ごろからオープンするカフェをのぞくと、たいていのショップは午前10時頃から。そして店が閉まるのは午後4時ごろと早い。レストランは例外だが、平日は午後9時ごろにはクローズするところがほとんどだ。

 町の中にはアップカントリーに拠点を置く芸術家たちのギャラリーがあちこちに点在するので、ぜひ立ち寄ってみたい。なかでも、太古のフラのイメージをモノトーンで表現して一躍有名になった、ハワイを代表する写真家のひとりであるランディー・ジェイ・ブラウン氏のフォトギャラリーは必見だ。定番のモノクロ写真シリーズに加え、最近作のデジタル写真の作品も人気がある。

 そして、マカワオのもう一つの目玉といえば、コモダ・ストア&ベーカリーだろう。1916年に日系移民のコモダ・タケゾウ氏がはじめた店で、今でもハワイ中の人たちに愛され続けている。ローカルの人たちが必ずといっていいほど手みやげに選ぶのは、「スティック・ドーナッツ(串あげドーナツ)」と「クリーム・パフ(ジャンボ・シュークリーム)」だ。ちょっと薄暗い店内は昔のままで、まるで、タイムスリップした感覚がするほどだ。

 

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ローカルに愛される静かな町ケオケア

0611_05.jpg  ハイウェイ37号線の終点にあたるケオケアは、町といってもカフェ、ギャラリー、日用雑貨店、ガソリンスタンドがそれぞれ1軒ずつあるだけなのだが、クラの人々が一番愛して、大切にしている町でもある。この町の先にあるワイナリーをめざす観光客はたいていここを素通りしてしまうし、ハナから裏道を通ってやってくる観光客たちも、一気に街をめざして車を走らせるものだから、やはり素通りしてしまう。だから、ケオケアはいつも静かで、あたたかな空気が流れているともいるだろう。

 ケオケアの街から北に数キロメートル続く小道「トンプソン・ロード」は、散歩にうってつけのコースとなっている。この一帯は全米で人気となったテレビ番組のトークショーのホステス、オプラ・ウィンフリー氏の所有地で、7年から8年前にマウイの環境を守るとして一帯を買い取り、普段は静かな町クラでも話題になった。

 ケオケアでは、平日の早朝ならロードバイカーたちがグランマ・コーヒーハウスのコーヒーを飲みながら一休みしているだろうし、陽のさす午後なら、近所の人たちがベンチに座って、おしゃべりをしている風景に出くわすだろう。道路わきに車を止めて、周辺をぶらりと散歩してみるのもいい。きっと、これまで知っているマウイとは違う世界に出会えるはずだ。

 

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▽ランディー・ジェイ・ブラウン・ギャラリー
所在地:1152 Makawao Avenue, Makawao
TEL:808-573-1176
URL:http://www.randyjaybraun.com/

▽コモダ・ストア&ベーカリー
所在地:3674 Baldwin Ave. Makawao
TEL:808-572-7261

 

独立記念日はマカワオがパニオロムード一色に

  0611_07.jpg  7月4日のアメリカ独立記念日はマカワオの町が一年で一番活気づく日で、"パニオロ"の町として復活する日でもある。今年で44回目となる「パニオロ・パレード」のテーマは「Na Paniolo Maoli No」(オリジナル・カウボーイ)。パレードとともに見逃せないのが「ロデオ」で、アップカントリー中のカウボーイ、カウレディたちが一同に集まるパニオロたちの最大のお祭りだ。荒馬乗り、投げ縄など、本格的なロデオを目前で楽しむことができる。

▽2009年パレード&ロデオ開催スケジュール
○パニオロ・パレード
 開催日:7月4日
 時間:午前9時頃~午後12時
 料金:無料
 *駐車場はない。

 マカワオ・アベニュー沿いのエディー・ターム・センターに停車し、無料のシャトルバスを利用する。徒 歩では10分程度。シャトルサービスは午前7時から9時の間のみ。
 
○マカワオ・ロデオ
 開催日:7月2日~5日
 場所:Oskie Rice Arena(マカワオの街から徒歩10分)
 時間:7月2日、3日(予選日)は午前9時開始。
         3日午後7時からブル・バッシュ(暴れ牛乗り競技)を開催。
     4日、5日午後1時から投げ縄、暴れ馬などロデオ全部門の競技を開催
 料金:大人20米ドル、シニア15米ドル、子供5米ドル、予選見学は無料
 TEL:808-572-8954(英語)

 

今週のハワイ50選
クラ(マウイ島)
ハレアカラ(マウイ島)

取材:ヤスコ・ランジェロン