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記念旅行にふさわしい「アロハをまとう」

ハワイ・ライフ&カルチャー 記念旅行にふさわしい「アロハをまとう」
~装いで楽しむハワイの文化、自然、心のぬくもり~

0212_hawaii_top.jpg  ハワイの自然、文化が盛り込まれたアロハシャツ、ムームー、ハワイアン・ジュエリーなどのハワイアンウェア。その成り立ちからはハワイの歴史にも触れられ、ハワイの人々の思い、アロハ・スピリットが感じられる。身に着ければ旅行気分はもちろん、ハワイへの親近感も高まる。また、ハワイアンウェアはデザインや素材など装いの幅も広がり、さまざまシーンで利用されている。ハワイ50選に選ばれた「アロハをまとう」。特に、アニバー サリーの旅行にふさわしい演出にもなりそうだ。


日常からお出かけ着まで、ハワイアンウェアの楽しまれ方 

  0212_hawaii_01.jpg  ハワイでは、アロハシャツ、ムームーがカジュアルウェアとして親しまれているだけでなく、正装、ビジネスウェアとしても認められている。州知事や市長、議員が公務に着用しており、金曜日にアロハ姿での出勤を推奨する「アロハ・フライデー」も浸透。プライベートでは外食時に普段着のTシャツをアロハシャツに着替えて出かけるなど「お出かけ用」で使われるほか、ウェディングはもちろん、子どもの卒業式などに参列する正装としても、アロハシャツやムームーを選ぶといった具合。色やデザインが多様なので、そのシーンにふさわしいウェアを選び、おしゃれを楽しんでいるようだ。

 日本人旅行者はどうかというと、日中はやはり、カジュアルでの利用が多い。以前はTシャツなど日本での夏の普段着姿が多かったが、徐々にアロハシャツを着る人も増えている。特に、ディナーやクルージング、ショーに出かける夕方の時間帯には、ホテルからアロハシャツ、ムームーを着用し、雰囲気を楽しむ姿が見られる。ウェディングでも、花嫁がムームーのウェディングドレスである「ホロク」を着用したり、アロハシャツやムームーで参列する人も見かけることが多くなった。

 ハワイアンウェアを身に着ける日本人旅行者が増えたのは、以前に比べてデザインや商品の種類が広がり、着用機会が増えたことも理由のひとつだろう。アロハシャツは以前から人気があったが、それに比べると女性用のムームーはそのゆとりあるスタイルや柄、色、フリルなどの大胆なデザインのために好き嫌いが分かれる傾向があった。しかし、最近は女性の間でフラ愛好家が増加し、レッスン時に着用するスカート「パウ」を身につけ、なじみが出てきた。さらに、フリルや色使いを控えめにしたムームーや、日常着にしやすいシンプルなアロハ柄のワンピースなどデザインも多様化し、ムームーは着心地の良いサマーウェアに進化している。ムームーのサマードレスを購入し、夏の普段着として愛用する日本人も少なくない。

 さらに最近では子供のアロハシャツも充実し、ペットとのペアのデザインのシャツも登場するなど、楽しみ方も広がっている。年代を選ばずに着られるアロハシャツ、ムームーは、初めての家族旅行や三世代旅行など、家族そろっての特別な旅行をハッピーにしてくれるアイテムとして、ぴったりのようだ。


特別なアニバーサリーにはハワイアン・ジュエリー

0212_hawaii_02.jpg   もうひとつ、忘れてはならないのが、ハワイアン・ジュエリー。英国のビクトリア女王が喪に服する時に身につけたジュエリーに似せて、ハワイ王朝のリリウオカラニ女王が作らせたのがその発祥という説もあり、格調と品格が感じられる。

 リリウオカラニ女王は親しい人に、自身が愛用したジュエリーを贈ったという。そのためハワイではハワイアン・ジュエリーを親愛の意を込めてプレゼントするようになった。現在は何らかの記念で親から子へ贈られることが多く、特に子どもの卒業式や結婚など、親や家からの独立といった人生の節目を祝うケースが多いようだ。もちろん、エンゲージリング、マリッジリングなど、恋人同士の意味のこもったプレゼントにも選ばれている。バウリニューアルはもちろん、子どもの独立をきっかけとするシニア世代の旅行者や結婚周年旅行には、ハワイアン・ジュエリーを贈る現地の習慣を踏まえてプレゼントをすれば、喜びの気持ちが高まり、旅行の印象が強まるだろう。

 デザインはハワイの花々や動物など、自然をモチーフにしたものが多い。また、身につける人の名前やそのアルファベット、好きな言葉を刻んだものも人気だ。あるハワイアン・ジュエリーの店員によると「日本人の旅行者はプルメリアやマイレなど、ハワイでよく見られる花や植物を好む」とのこと。また、「亀やヤシの木のデザインも人気があり、若い人だけでなくシニアの方々も購入していく」という。

 近年は素材も、単なるゴールドからシルバー、ピンクゴールドやホワイトゴールドなどに広がり、ゴールドとピンクゴールドなどの2色、3色使いのデザインも増えてファッショナブルになっている。3日間ほどで、名前や好きな言葉を掘り込むセミオーダーメードのジュエリーを作ることに対応するショップもあり、旅行の前半のうちに好きなデザインを依頼し、滞在中に受け取ることも可能だ。


すべての人に勧めたい「アロハをまとう」

0212_04.jpg  カジュアルから正装まで、ハワイアンウェアを着る理由は人それぞれ。記念日や特別な理由はなくても気に入ったら購入し、好きな場面で身につけ、アロハな気分に浸るのが最高の楽しみ方だ。前回の特集で紹介した「ベイリーズ・アンティーク&アロハシャツ」の店主であるベイリー氏は、「アロハ・フライデーや特別なシーンだけではなく、普段のストレスや疲れを癒すためにも、もっとアロハシャツを着てリラックスして欲しい」という。ハワイの風土で発展したアロハシャツ、ムームー、ハワイアン・ジュエリーをシンプルにまとう。そんなささいなことで、誰にとってももう一歩、ハワイ旅行を思い出深くする、ちょっとしたエッセンスになるだろう。

  

アロハ・スピリットが表れたアロハシャツ

0212_hawaii_kakomi.jpg   アロハシャツのデザインは大きく「トロピカル系」と「オリエンタル系」に分かれる。「トロピカル系」はハイビスカス、ネネ(ハワイ州の鳥)、フラ・ガール、イオラニ宮殿など、ハワイの自然、文化、歴史が施されたデザインのもの。「オリエンタル系」は日本や中国など移民としてハワイに渡った人々が自分たちの着物の生地から作ったのがはしり。和風柄には扇や富士山、寺、滝、鯉、虎、かるた、松竹梅などがある。もともと、アロハシャツはアメリカ本土から持ち込まれた開襟シャツが労働者の間で使われ、その着心地のよさから広まっていったといわれている。トロピカル系の柄は自然や伝統をいつくしむハワイの心、オリエンタル系の柄は移民を労働力としてだけでなく、その文化も認めたハワイの寛容さを象徴しているようだ。

 ちなみに、アロハシャツと日本に深いつながりがあることは、愛好家には有名な話。実は、「アロハシャツ」と呼ばれるようになったのは、初の日本からの官約移民の一人であった宮本長太郎さんが開店した「ムサシヤ・ショーテン」が、1935年に地元紙の広告にアロハシャツと記載したのが、最初といわれている。当時はパン・アメリカン航空がアメリカ西海岸からハワイへ就航し、観光客の数も増加。土産品としてのアロハシャツの需要が増えつつあった。人気のアロハシャツのブランド「カメハメハ」「カハラ」「デューク・カハナモク」などが数々と誕生したのも、この頃のことだった。

 

今週のハワイ50選

アロハをまとう(ハワイ全島)

取材:フジタ佳子