• 体験レポート
  • ライフ&カルチャー
  • 州誕生50周年記念
  • インタビュー

モクレレ航空の登場で拡充した離島間フライト

0528_0001.jpg 2008年3月にアロハ航空が旅客便の営業を停止したことで、ハワイ離島を結ぶ航空座席数が減少、さらに燃油高騰の逆風を受けて料金も値上がりし、ネイバーアイランドへのアクセスが以前に比べて不便になってしまった。そこに昨年11月、モクレレ航空(MW)が離島へのジェット便を運航して参入、インターアイランドの足回りが改善した。今春には経営状態の悪化が報道されたが、現在は経営体制を変更し、5月1日には新路線を運航している。今回はモクレレ航空のサービスを見学するとともに、現状と今後の方針を取材した。


ハワイ離島の利便性を考えて、参入 

0528_002.jpg モクレレ航空はそもそもハワイ島のコナを中心にしたセスナツアーの会社が前身だ。2005年に前CEOのビル・ボイヤー氏が同社を買収し、カパルア、モロカイ、ラナイ島へのセスナサービスをはじめ、2008年にはアメリカ本土のリパブリック・エアラインズ(RW)やシャトーカ・エアラインズ(RP)などを傘下に持つリパブリック・エアウェイズとの協力関係により、大きく変貌を遂げることになる。

 アロハ航空の旅客便停止後、離島を結ぶジェット機の路線は以前から4割程度落ち込み、ハワイアン航空(HA)と、ゴー・エアライン(YV)の2社の選択肢になっていた。そんな状態に、ボイヤー氏は「今のハワイにはもっと選択肢が必要である」と市場の活性化に乗り出した。アロハ航空の元社員を積極的に採用し、彼らの経験を活用すると同時に、短期間での就航にも成功。リパブリック・エアウェイズから3機のジェット機を借りる契約を結び、2008年11月にはホノルル/リフエ線、ホノルル/コナ線を就航。09年2月1日にはホノルル/カフルイ線を就航し、ジェット便として3路線の運航にいたった。


リバプリック・エアウェイズの子会社として再出発 

0528_003.jpg しかし、今年3月に入り、経営状態が悪化。そこで3月20日に300万米ドル、4月30日にはさらに250万米ドルの投資をして体制の強化をはかった。3月20日にはリパブリック・エアウェイズからモクレレ航空のCEOとしてスコット・ダーギン氏が就任。50%の株式をリバプリック・エアウェイズが所有し、ビル・ボイヤー氏は5名の役員のうちの1人となって、経営体制が変更した。

 まずダーギン氏が着手したのが、路線の見直し。セスナ機を3機減らし、ラナイ/カパルア線など、利益が低い路線を一時休止させた。これにより運航便数は157便から84便にまで縮小したことになる。一方で、5月1日にはホノルル/ヒロを就航し、「セスナ機は減らしていったが、ジェット機はこれからも増やしていきたい」と意欲を見せる。

 

 


米本土への認知向上、オンライン旅行会社、航空会社との提携すすめる

0528_0003.jpg 次は、アメリカ本土へのモクレレ航空の露出を高めるプロモーションに力を入れる。「アメリカ本土の人でモクレレ航空を知っている人がまだまだ少ないのが現状」とダーギン氏は話す。5月11日には、エクスペディアとパートナーシップを締結したほか、数週間の内にトラベロシティとのパートナー締結を発表、さらに6月にはオービッズ•トラベルとのパートナーシップも予定されている。「これによりアメリカ本土の人たちが予約をしてくれる機会が増えると期待している」と同氏。

 各航空会社とのアライアンスにも力を入れる。ダーギン氏の就任前はアラスカ航空(AS)とウエストジェット・エアラインズ(WS)とのアライアンスのみであったが、4月23日にはコンチネンタル航空(CO)、5月にはフィリピン航空(PR)とのアライアンスを締結。「現在日本のキャリアを含む8つの航空会社とのアライアンスを進めている」と力強く話す。「日本はアメリカに次いで2番目に大切な市場。航空券は現在、ウェブあるいは電話での申し込み受付であるが、ハワイにある日系旅行会社と契約を結べるように全力を上げている」という。料金面については現在、ホノルル/カフルイ間、ホノルル/コナ間ともに片道39米ドルから。「不況のこの時期、低料金体制はしばらく続くと思う。社内のコスト削減に努め、利益を確保していきたい」とダーギン氏は語る。


「一番愛される航空会社に」

 

0528_0004.jpg モクレレ航空はジェットサービスの「モクレレ航空」とセスナによる「モクレレエキスプレス」とで、チェックインカウンターが異なる。今回はジェット機を利用するカウンターを訪れた。ホノルル国際空港のグループチェックインの場所から2階に上がれば、インターアイランド行きの表示があり、わかりやすい。チェックインカウンターはHAの隣にある。

 

 

 ジェット機を見て、まず目がいくのが尾翼に描かれたカパルアリゾートのロゴマーク。実はこの部分は広告として使用しており、マウイ島のカパルアリゾートが広告スペースとして使っているのだ。ジェットの中を覗くと広々とした空間で、座席間のスペースもゆったりしている。新しいジェット機だけあり、シートの座り心地もよい。

 ジェット機は「エンブラエル170」で、フライトアテンダントが2名乗務。座席は2-2列の配列で、合計70名を収容できる。セールス&ディレクターのイポ・モスマン氏は「通常のボーイングより燃費がよく、乗り心地もスムーズで、静か」とジェット機の利点をアピール。前の6席はファースト席となっており、コンプリメンタリーとしてサービスされるミネラルウォーター、アイランドジュース、コーヒー以外にコーラ、ビールも提供する。またファーストクラスの乗客向けのラウンジ「ali'i Club」が空港内にあり、コーヒー、お茶のほかに簡単なスナックも提供し、なかなか快適な空間となっていた。

 見学中はキャプテンクルー、キャビンアテンダント、そしてそのほかのスタッフたちが非常に活き活きと、そして和やかに働いていたのがとても印象的だった。「HAに次いで業界2位をめざしていますか」とスタッフに問うと、「一番愛される航空会社になりたい」と話す姿に、今後のモクレレ航空の成長に期待したい。

 

0528_006.jpg

 

取材:堀内章子