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アートの町、カイルアのタウンパーティ

洗練されたアートの町でローカル気分満点のイベント
~カイルア・タウンパーティでロコ気分を味わう~

100520_hwi_top.jpg 美しい海があり、洒落たショップが集まるエリアとして注目を集めているカイルア。ワイキキとは全然違う雰囲気を持つカイルアは、実はカメハメハ大王がその昔住んでいたという歴史のある町でもある。最近では大型のツアーバスが多く訪れ、普段は観光客の姿が絶えないが、毎年4月の最終日曜日に開催されるタウンパーティ「I Love Kailua Town Party」では、地元の人々が集まり、大いに盛り上がる。お洒落な雑貨やアート作品を売るブースから地元で話題の店舗によるフードブース、自然保護団体のブースまであり、カイルアならではの魅力が凝縮されたイベントとして、リピーターやアート好きの旅行者にすすめたい。


地元客で賑わうタウンパーティ

100520_hwi_01.jpg 美しい海に面し、古きよき昔の面影を残すカイルアには、人情に厚く、アート感覚あふれる人たちが住んでいる。目抜き通りのカイルアロードにあるショッピングセンターには、各店舗のオーナーがアメリカ本土あるいはハワイで見つけてきた選り抜きの品物を陳列している。それだけに、ここだけにしかない掘り出し物を求めて訪れる日本人旅行者も少なくない。人気のパンケーキの店「ブーツ&キモズ」も場所を移転し、規模を拡大して再オープンしており、午前中から列をなす人気ぶりは健在だ。

 そんなカイルアで、今年で18回目となるタウンパーティ「I Love Kailua Town Party」が4月25日、開催された。当日はカイルアロードを歩行者天国にして50店あまりのブースが出店。ライブエンターテイメントをはじめ、カマイナキッズ主催によるトランポリンなど子ども向けのアトラクションも用意され、家族連れでイベントを楽しむ人たちの姿が目立った。ちらほらと日本人旅行者の姿も見かけたが、来場者の大半は地元の人たちで、まさしく「地元のお祭り」といったローカルな雰囲気を肌で感じることができる。

 カイルアといえばお洒落な雑貨屋が多いことでも有名で、ブースにも芸術的な作品も多く並び、目を楽しませてくれた。ガラス製品を作っている「アイランドグラスワークス」には、ガラスのコップや置物、花瓶などが売られていていた。ここでは体験レッスンも実施され、例えばビギナー向けの4時間のクラスでは置物の絵を描けるところまで教えてくれる。6時間のコースなら、これにガラスを吹く作業が入り、さらに本格的になるといった具合だ。料金は4時間で175米ドル、6時間なら225米ドル。時間が許せばこんな体験も思い出深いひとときとなることだろう。


アートの街ならではの手作り感を楽しむ

100520_hwi_02.jpg ハンドメイドの帽子飾りを作っているブースも、来場者の関心を集めていた。暑いハワイにぴったりの麦わら帽子にラウハラの葉を編み上げて飾りとし、オリジナル帽子として売っていた。ラウハラを編み上げたものは、ハワイの伝統的な工芸品でもある。

 その隣には、「こんなクッションが置いてあったら素敵だろうな」と思えるセンスのよいクッションカバーが並んでいた。オリジナルデザインを描き、染め上げる工程まですべて手作りだという。制作者のミッシェル・バギンスキーさんは「すべて一点ものばかり。大量生産はしない」と話す。こうしたアーティストとの触れあいもブース巡りの楽しみのひとつといえるだろう。

 また、シードレイ(木の実や種から作られたレイ)の材料にもなるムガンボやサンダルウッドの実からできた数珠のようなアクセサリーをはじめ、常温で硬化するエアドライタイプのクレイや、カプリサンという地元のジュースで独特なパウチ包装を、洗って再利用しバッグに加工して販売するなど、エコ&アイデア型の作品を売るブースもあった。

 お昼時になると、フードブースが混みはじめる。最も人を集めていたのが「ファット・ボーイ」というプレートランチのブース。ここのガーリックチキンがおすすめで、カイルアに行くと必ず買ってくるファンも多いほど。この日はヒバチスタイルの焼き鳥を販売していた。もうひとつの人気店は「クレープ・ノ・カオイ」で、1つ4米ドルという小さめのクレープが飛ぶように売れていた。まだまだクレープを売るお店が少なく、カイルアではここだけということもあり、人気を集めていたようだ。


そのままの自然を守る試みも

100520_hwi_03.jpg カイルアには、自然をなるべくそのままに残したい、あまり開発して都会的になってもらいたくないと願う住民が多い。このタウンパーティにもそうした考えが反映されており、3米ドルで購入するバッジの売上金とイベントの収益金は、カイルア・ラニカイ地区の自然保護のために利用されるという。

 カイルア地区にある湿地帯を少しずつタロイモ畑に変えていく活動、ハワイの固有種を守り、外来種や雑草を排除する活動をしているグループのブースにも、興味をそそられた。カイルアには広大な湿地帯が残っており、それらの自然をなるべく昔のまま残しておきたいと願う人たちが多いということを、改めて認識させられる。そのブースでは1900年代初めのこの一帯と現代の違いを、写真とともに紹介していた。現在、カイルア・ハワイアン・シビック・クラブでは月に1度、カワイヌイ湿地帯を中心に、ボランティアを集めて自然保護にあたっているとのこと。こうした活動について知ることができるのも、ローカル色の強いタウンパーティならではのことだ。芸術の街カイルアの素顔に出会えるイベントとして、興味深いひとときとなるはずだ。

 

今週のハワイ50選
カイルア〔カイルア・ビーチ〕(オアフ島)

 

取材:堀内章子