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ハワイアン・スラックキーギター・フェスティバル

心地よい風に吹かれながらハワイアン・ミュージックを楽しむ
~ハワイアン・スラックキーギター・フェスティバル~

100909_ghwi_01.jpg  ハワイでは年間を通じてさまざまな屋外イベントが開催されるが、夏から秋にかけては、地元の人たちも開催を心待ちにしている恒例イベントが多い。そのなかのひとつが、今年で28回目を迎えるライブショー「ハワイアン・スラックキーギター・フェスティバル~オアフ・スタイル」だ。心地よい風に吹かれながらスラックキーギター独特のやさしい音色に酔う。そんなぜいたくなひとときが過ごせる同イベントの魅力をご紹介したい。


ピクニック気分で楽しめる屋外イベント

100909_ghwi_02.jpg 今年8月15日の日曜日、カピオラニ公園のバンドスタンドで、ハワイアン・スラックキーギター・フェスティバルが開催された。今年のハワイの夏は、いつもより幾分涼しいと話す人が多いが、湿度の低さがここまで快適な気候をもたらすのかと改めて実感させられる。そんな屋外で過ごすのに最適なこの季節は、皆がアウトドア派になるだけに、案の定カピオラニ公園も多くの人が集まってきていた。周辺の駐車場に車を停めるのも一苦労で、周囲2キロはあるだろう公園をぐるぐる回っているうちに軽く30分は経過してしまった。

 バンドスタンドに向かって歩いて行くと、早くも音楽が聞こえはじめる。カピオラニ公園内には、青々とした芝生のあちこちにバニヤンツリーやモンキーポッドがあり、人々が休むのにちょうどよい木陰となっている。ステージから離れた木陰に陣取って、音楽を遠くに聴きながら家族や友人とピクニックに来ているロコ(地元の人)の姿も多い。昼下がりのバンドスタンドの周りはすっかりベンチが埋まり、ロコに交じって観光客の姿も見られる。ゴザを持ち込んで音楽に聴き入っている日本人の親子連れの姿もあり、4、5歳くらいの子どもが演奏にあわせて踊っているのが印象的だった。

 ハワイアン・スラックキーギターとは、オープン・チューニングによるギター奏法のハワイアン・ミュージックのことで、聞いていて耳に心地よい音色は、特にハワイの青空と心地よい風のなかでゆっくりと聴くとなんともリラックスした気持ちにさせてくれる。ギターに関心のある人から、私のようにギター通でもない人まで、 幅広い人が演奏に聴き入っていた。


著名アーティストが続々とステージに

100909_ghwi_03.jpg  ハワイアン・スラックキーギターといえば、ギャビー・パヒヌイの存在を抜きには語れない。彼が今日のハワイアン・スラックキーギターのスタイルを築いたといってもいいほどで、アコースティックギター奏者であるレオ・コットケや、スライドギターの名手ライ・クーダーなど、彼から影響を受けたといわれるミュージシャンは少なくない。そのうちの一人であるミルトン・ラウがパヒヌイの没後、敬意を表して1回目となるハワイアン・スラックキーギター・フェスティバルを、彼の生まれ故郷であるオアフ島ワイマナロで開催したのは1982年のこと。多数の観客の動員に成功した同イベントは、その後ホノルルに会場を移すとともに、マウイ、カウアイ、ハワイ島のカイルア・コナでも開催される恒例の人気のイベントになっている。

 当日のステージで、私の興味を引いたミュージシャンの1人がボビー・モディーロ・ジュニアだ。彼はハワイと日本で活躍するハワイアンバンド「マウナルア」のスラックキー・ギタリスト兼ボーカリストである。身を乗り出して演奏する姿に、音楽に対する熱い思いが伝わってきた。ほかには、ジョージ・クオや、ビル・グリフィン、エルティ・スムース、ドワイト・カナエなど、次から次へと人気のスラックキー・ギタリストがステージに登場。グラミー賞受賞者もいるほど著名なアーティストであるにもかかわらず、ラフなTシャツやアロハシャツで弾き語りをするなど、気さくに演奏している姿がまた印象的だった。

 ステージから目を離していると、いつグループが変わったのか分からないくらいで、音楽はまるでBGMのように流れていく。そのためか、少し離れた場所で家族が楽しそうに輪になって話をしていたり、あるいは1人で読書にふけっている人もいたほど。さり気なく聞こえてくる音楽といえばよいのだろうか。ハワイの自然を感じさせるサウンドだからこそ、地元の人に根強い人気があるのもうなずける。こんなのんびりとした楽しみ方ができるのも、ハワイアン・スラックキーギター・フェスティバルの魅力といえよう。


フードやアンティーク、アート作品などのブースも

100909_ghwi_04.jpg  ステージの脇では各種ブースが設定され、TシャツやCDなどが販売されていた。それらを手にとって購入するのはロコの人たちが目立つ。このほかにもフードブースやアンティーク、アート作品などのブースが並ぶなか、同イベントのスポンサーにもなっているギターのテイラー社も出店。低価格のものから100万円近くする高額なギターまで幅広く販売しており、ギターファンの人気を集めていた。

 このスラックキーギター・フェスティバルは、今年6月 27日にマウイ島のマウイ・アート&カルチュラルセンターのアンフィシアターで、9月5日にはハワイ島コナのシェラトン・ケアウホウベイ・リゾート&スパのコンベンションセンターで開催されたほか、今秋11月14日にはカウアイ島のカウアイビーチリゾート&スパのコンベンションセンターで行なわれる予定だ。

 なお、ワイキキにあるインターナショナル・マーケットプレイスでは、先ごろ新たなルアウショー「リターン・トゥ・ワイキキ」がスタート。同ショーは若手の有名なスラックキー・ギタリストであるマカナがプロデュース、早くも話題を集めている。夜空の下、ルアウの美味しい食事とともにギターの奏でる美しい音色が楽しめるスポットとして、今後注目を集めそうだ。

 

今週のハワイ50選
ハワイアン・ミュージック(全島)
ワイキキ(オアフ島)

 

取材:堀内章子