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マウイ島、アップカントリーの農作物と花を楽しむ旅

マウイ島の豊かな農作物と花を楽しむ旅
~爽やかな高原の風が吹くアップカントリーへ~

 

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 マウイ島のアップカントリーは、北はカフルイから南はハレアカラまでをカバーする一帯を指す。近年、サーファーの町であるパイアやパニオロ(ハワイアンカウボーイ)の町マカワオがちょっとしたショッピングタウンとして注目されているが、アップカントリーといえば、カフルイとハレアカラの中間に位置するクラは外せない。標高1500から3500フィート(約450~1050メートル)のこの辺りは、爽やかな風が吹き渡る高原地帯。肥沃な土地は農業や牧畜に適し、近年はマウイ島の新たなグルメスポットにもなっている。今回はラベンダーを中心にさまざまな植物を栽培しているラベンダーファーム(農園)と、ランチスポットとして人気のロッジに立ち寄った。
                         
                             
クラのメイド・イン・マウイを巡る

100916_ghwi_02.jpg カフルイから37号線を南に走っていくと、両サイドに広がる砂糖キビ畑の風景から、しだいにゆるやかな登りに入っていく。訪れたのは春も終わろうという季節だったが、道路わきには点々と紫の花をつけたジャカランダが咲いていた。

 マウイ島の主な産業は、観光業を除けば野菜やフルーツ、砂糖キビなどの農業と牧畜だ。その産地のひとつがクラであり、ハワイ州のなかでも多彩な農産物を栽培していることで知られている。マウイ島でもっとも有名な農作物は、なんといってもマウイ・オニオンだろう。甘味と歯ごたえがあり、なかでもクラのタマネギは世界でも評価が高いという。新鮮な野菜や果物が採れるというだけで、そこで味わえる食の楽しみに心が躍るというものだ。

 クラはまた、切り花の生産も盛ん。特に南アフリカ原産のプロテアが有名で、あでやかな色のゴージャスな花が人気を集めている。プロテアがマウイ島に持ち込まれたのは約45年前。高原地帯特有の涼しい気候と火山性の土壌が適し、今ではクラを代表する産物になった。そのほか、ヤギ牧場、サーフィン・ゴート・デイリーの自家製ゴートチーズやテデスキー・ワイナリーのパイナップル・ワインなど、クラをひと回りするだけでメイド・イン・マウイを巡る旅を企画することができる。


花の香りに包まれたマウイ島の別天地

100916_ghwi_03.jpg 車を降りるとそこはまさに高原で、ハワイとは思えない風景が広がっていた。アリイ・クラ・ラベンダーは、アリイさんが一代で切り開いた10.5エーカー(4万2492平方メートル)もの広大なファーム。ギフトショップを挟んで山側には5万5000株にも及ぶ一面のラベンダー、谷側にはプロテアを含む各種植物が咲き乱れている。ラベンダーは最盛期ではなかったが、45種類もあるうちのいくつかが淡い紫の花を咲かせていた。

 参加者の多くは、花よりギフトショップのグッズやカフェメニューに興味津々だ。ラベンダー入りのローション、スクラブ、バス・ジェルといった化粧品やバスグッズをはじめ、紅茶やジャム、チョコレートなどの食品もあり、どれもお土産にぴったり。また、カフェではラベンダースコーンやラベンダーハーブティー、ラベンダーコーヒーといった変わり種も楽しめる。

 メインはラベンダーだが、谷側のガーデンも充実しており、花好きにはたまらない。プロテアを間近で観察したり、ラベンダーの種類に感心しながらひと巡りするのがおすすめだ。より詳しいことを知りたければ、1日に5回催行される30分のウォーキングツアーに参加するのがいい。グループ向けのツアーやウエディングもアレンジできるので、マウイ島の高原の魅力が味わえるデスティネーションのひとつとして候補にあげておきたい。
 

 

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レトロなロッジで自然の恵みを食す

100916_ghwi_04.jpg クラの農産物を味わうなら、クラ・ロッジは外せないだろう。木造のロッジは1940年代の建造。レストラン、ギャラリー、客室、そして離れのギフトショップで構成されている。1階のレストランは、クラシカルな調度品に彩られていて落ち着ける雰囲気。高台に建っているので、大きな窓からはなだらかな山麓が広がる雄大な景色も楽しめる。

 しかし、何といってもお楽しみはボリュームたっぷりのランチだ。本格的な窯で焼いたピザや大きなチーズバーガーはもちろん、注目はマウイ・オニオンをたっぷり使ったマウイ・オニオン・スープ。カップは小さいものの、食べ応えは満点だ。バーガーに挟まれたレタスやオニオン、ピザの上のトマトなど、フレッシュな野菜もシャキシャキして美味しい。ただし、やはり量はアメリカンサイズなので、賢くシェアして味わいたい。

 離れに建つギフトショップ、クラ・マーケット・プレイスも必見のスポット。名前の通り、ところせましと並ぶ品々は充実しており、野菜や果物、生花、ワインといったメイド・イン・クラの農産物をはじめ、クラフトやアートもメイド・イン・マウイがそろっている。ブランドショップが並ぶショッピングモールとはまったく趣の異なる買い物が楽しめ、マウイらしい一品をチョイスすることができるだろう。

 なお、クラ・ロッジの宿泊施設は、ヨーロッパ風の客室5部屋のみ。リピーターやローカルな雰囲気を好む旅行者におすすめだ。 

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 マウイ・ゴールドの行方

100916_ghwi_05.jpg マウイ島滞在中、何度かパイナップルを口にした。同行者と「マウイ島はパイナップルがおいしい」という話になり、にわかにマウイ・ゴールドが話題にのぼった。そう、マウイ島の農産物といえば、酸味が少なく、後味のよい甘味で知られるパイナップルのブランド、マウイ・ゴールドだ。

 しかし、マウイ・ゴールドを栽培していたマウイ・パイナップル・カンパニーは、2009年いっぱいで生産を止めたと聞く。とすれば、何度か食べたパイナップルはマウイ・ゴールドではなかったのだろうか。そんなことを考えていたら、なんと空港でマウイ・ゴールドを発見。箱に明記されていたホームページをチェックしてみると、現在はハリイマイレ・パイナップル・カンパニーが後を継いでマウイ・ゴールドを栽培しているとのことだ。

 マウイ島のパイナップル栽培の歴史は100年以上も前に遡る。宣教師ドゥワイト・ボールドウィンの末裔がカパルアの地にパイナップルのプランテーションを開拓したのがはじまり。その後、この土地はカパルア・リゾートを開発しながらパイナップルの生産でも成長を続け、地元に大きな雇用を生み出した。現在もカパルア・リゾートはマウイ・パイナップル・カンパニーの親会社、マウイ・ランド&パイナップル・カンパニーの所有となっており、リゾート内のホノルア・ストアでもマウイ・ゴールドを販売している。プランテーション時代の面影を残す唯一の建造物であるホノルア・ストアは、一昨年に歴史的な建物を保護しながら大規模なリノベーションを完了した。

 

今週のハワイ50選
ハレアカラ(マウイ島)
クラ(マウイ島)

 

取材協力:ハワイ州観光局(HTJ)、チャイナエアライン(CI)
取材:竹内加恵