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体験レポート:カウアイ・モキハナ・フェスティバル

カウアイ島最大のハワイアン・エンターテイメントの競演
~9月連休と同時期で旅程が組みやすいメリットも~

101104_ghwi_01.jpg カウアイ島で毎年9月後半に1週間かけて行なわれる「カウアイ・モキハナ・フェスティバル」は、島全体がハワイアン・エンターテイメントに情熱を傾けるほどのビッグ・イベントだ。このイベントの前身であったカウアイ・コンポーザーズ・コンテスト(作詞作曲のコンテスト)が1984年にはじまったと聞けば、回を重ねて成熟したイベントであることが分かる。カウアイ・モキハナ・フェスティバルの開催は、日本の9月の連休と同時期にあたるため、日本からのツアーを企画するにもぴったりの素材といえるだろう。




ハワイアン・エンターテイメント三昧の1週間を

101104_ghwi_02.jpg ハワイアン・エンターテイメントひとつとっても、ハワイの島々にはそれぞれ特徴がある。例えばカウアイ島なら音楽、フラにおいて、その文化の濃度の高さと地元に密着した豊かな才能の数々が存在する島として認知されている。イベント名にある「モキハナ」はカウアイ島の森のなかにしか存在しない貴重な、香りのよい薄緑色の実のことで、カウアイ・モキハナ・フェスティバルも、この実のごとくに香り立つハワイアン・エンターテイメントの真髄を心ゆくまで楽しむことのできるイベントといってよい。

 今年の開催期間は9月19日から25日の1週間だった。近年大きなスケジュールの変更はないため、日本からは9月の連休時期にあわせたツアーを組みやすいメリットもある。また、イベントは終日開催ではないので、日中はカウアイ島内の観光を楽しむことも可能だ。



歴史あるカウアイ島のフラ・ハラウ

101104_ghwi_03.jpg 近年の日本でのフラ人気は年齢を問わず、その裾野が広がっている。ハワイのそれぞれの島に、フラを伝承するフラ・ハラウがいくつも存在するが、やはり、島それぞれにスタイルがあるため、ひとくくりにはできない。フラを学ぶ人にとっては、どの島の誰から学ぶかは重要なことであり、そこに継承されてきた伝統文化の重要性は見逃すことはできない。その結果、フラを観る人も、各島、各フラ・ハラウのスタイルの違いを楽しむことができるわけだ。

 なかでも、カウアイ島のフラ・ハラウはフラの学び手にとても大切に思われている。諸説あるが、カウアイ島は神話の時代に初めてフラ・ハラウがつくられた島なのである。確かにカウアイ島は地学的にも、ハワイ8島のなかでニイハウ島と並んで古い島で、古代から雨や風によって浸食された山並みが描く、まるでカーテンのように美しいドレープは島の魅力ともなっている。伝統文化を学ぶうえで、歴史のあるものを尊重することが大切であることは、日本人のよく知るところでもあろう。

 今回、フラ・コンペティションには地元カウアイ島のフラ・ハラウのほかに、オアフ島、マウイ島、そして日本からの参加があった。カウアイ島のいくつかのフラ・ハラウは、日本に姉妹ハラウをもち、定期的にコンサートやワークショップを開催しているため、今回のフラ・フェスティバルでも、その繋がりを温かく感じることができた。

 コンペティションを観るか、参加するかはそれぞれであるが、イベントの雰囲気は終始和やかであり、競技をするもの同士がお互いを支えあい応援しあう、ハワイの古き良きコンペティションの姿が残っているといえる。今回の審査員を務めたマウイ島のクム・フラ(フラの師)は、「もともとハワイのフラのコンペティションは競うことによって、よりよい技術を得る、それを全員理解しているからお互いの健闘を祝い、その健闘ぶりを地元の人々が応援する。しばらく前まではコンペティション後は、参加したフラ・ハラウがそれぞれ招きあって大宴会だった」と話していた。



人気の集まるフラ・コンペティションを満喫

101104_ghwi_04.jpg 確かに、カウアイ・モキハナ・フェスティバルは他のフラ・コンペティションと一線を画す。創始者であるネイザン・カラマ氏の独自のアイデアがいきているからであろう。まず競われるのは独創性だ。もちろん伝統文化に裏付けられた技量を十分に持ってこそ独創性にも挑戦できるのであろうが、面白いのは参加したフラ・ハラウに課される条件だ。例えば現代フラ部門の場合、古典楽器ではない音の出る何か新しいものを踊りに取り入れると無条件でポイントがもらえる。今年 はあまり驚くような新楽器はなかったが、これまでの例ではハエたたき、POG(パッションフルーツとオレンジとグアバのミックスジュースでハワイでは定番の飲み物)の1ガロン容器などがあった。

 また、特に注目したいのは、コンペティションに参加できるのがフラ・ハラウのみではない点だ。おじいちゃん、おばあちゃんなど親戚一同を集めてオハナ(家族)という単位での参加が可能だし、仲良しの友人同士が集まりフイ(グループ)として参加してもよい。今回、カウアイ島のワイルア川沿いの老舗ルアウを経営するスミス・ファミリーが、親戚一同を集めていつもお世話になっている叔母のためにとパフォーマンスを披露した。フラ・ハラウの単位を超えたパフォーマンスがコンペティションに受け入れられることはまれであり、これがカウアイ・モキハナ・フェスティバルの特徴といえる。

 コンペティションを観るのは面白い。ショーを観るときとは異なる、手に汗握るような興奮がある。ハワイ島のメリーモナーク・フェスティバルやオアフ島のキング・カメハメハ・フラ・コンペティションなど、名門の競技会は日本人の観客で埋め尽くされている。大きなイベントにはそれなりのよさがあるが、それに慣れてしまうと著名なイベントを観たという満足感が先立ってしまうのではないだろうか。カウアイ・モキハナ・フェスティバルは、日本のフラやハワイアン・ミュージックの愛好者に、そして、ハワイを本当に愛する人たちに、一度は訪れてほしいイベントである。

 

今週のハワイ50選
ハワイアン・ミュージック(全島)

 

取材:神宮寺 愛

 

参考:2010年のカウアイ・モキハナ・フェスティバル

・9月19日(日)カウアイ・インストゥルメンタル・コンペティション
ギター、ウクレレなどの楽器の演奏を競うコンテスト
会場:グランド・ハイアット・カウアイ・リゾート&スパ

・9月20日(月)カウアイ・コンポーザーズ・コンテスト&コンサート
カウアイ・モキハナ・フェスティバル設立のきっかけになったコンテスト。作詞と作曲での競演が実現することからも地元文化の成熟度を感じさせる
会場:カウアイ・コミュニティ・カレッジ/パフォーミング・アート・センター

・9月21日(火)エオー・エ・リリウ・チルドレン・ユース・ミュージック・コンペティション
101104_ghwi_05.jpgエオー・エ・リリウ(リウオカラニ女王)に捧ぐ、子どもたちの音楽コンペティション。小学生から高校生までの子どもたちが出演。その技量にも驚くこと間違いなしだ
会場:カウアイ・コミュニティ・カレッジ/パフォーミング・アート・センター

・9月21日(火)アンダー・ザ・パーム・コンサート
無料の野外コンサート。このカウアイ・モキハナ・フェスティバルに関わるミュージシャンたちが一堂に会する、カウアイ島ならではの地元色の強い和気あいあとしたイベント。別の島からゲストとしてやってくるミュージシャンとの競演も見どころのひとつ。ナ・ホク・ハノハノ・アワードなどの受賞歴を持つ著名ミュージシャンたちのパフォーマンスが観られるチャンスもある
会場:アストン・アロハ・ビーチ・ホテル

・9月22日(水)オレロ・ハワイイ・フィルム・プレゼンテーション
映像部門のプレゼンテーション。ドキュメンタリーや創作などジャンルは問わないが、カウアイ・モキハナ・フェスティバルを運営しているマーリエ・ファウンデーションは、毎年、1年間を通じたテーマを掲げるため、それに準じて制作されなくてはならない。2010年のテーマは、「オレロ・ハワイイ(ハワイ語)」
会場:カウアイ・ビーチ・リゾート

101104_ghwi_06.jpg・9月23日(木)~9月25日(土)フラ・コンペティション
初日は古典のフラ(カヒコ・ネイ)の部門。2日目と3日目はアウアナと呼ばれる現代的なフラを披露。最終日はソロ部門の競技と表彰式
会場:カウアイ・ビーチ・リゾート