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ハワイ現地レポート:ハワイ、羽田発着便を体験、商品拡大に期待

羽田/ホノルル線を体験
~新たな可能性と商品拡大への期待~

101111_ghwi_01.jpg 羽田/ホノルル線就航で、ハワイ商品の選択肢拡大に期待が集まるなか、ハワイ州観光局(HTJ)主催による日本航空(JL)羽田便利用の研修旅行が実地された。現地では、HTJ、日本航空インターナショナル、アウトリガー・エンタープライズ・グループ、ハワイビジターズ&コンベンション・ビューロー(HVCB)によるセミナーや、パートナー企業のワークショップのほか、オアフ島各地を視察するオプショナルツアーなども行なわれ、羽田便の利便性、ハワイの最新動向を体感するまたとない機会となった。


オプショナルやプログラム参加で盛り上がり
101111_ghwi_02.jpg 10月21日に羽田空港の新国際線ターミナルが供用開始、31日には待望の羽田/ホノルル線の定期便が就航し、旅行、航空各社を含めハワイ関係者の大きな注目を集めている。こうしたなか、HTJではJL、アウトリガー・エンタープライズ・グループ及びハワイのパートナー各社の協力を得て、10月27日から11月1日まで4泊6日の行程でハワイ研修旅行を実施した。

 参加者は、旅行会社のスタッフを中心に総勢約180名。到着翌日、参加者を一堂に集めて開催したセミナーとワークショップでは、HTJ代表の一倉隆氏がFITの増加など日本マーケットの概況、さらに「想像より、おもしろい。ハワイ」のキャッチフレーズのもと展開する2011年のプロモーションなどについてスピーチ。続いてJLやアウトリガー・エンタープライズ・グループから、各社の取り組みや最新動向についての説明がなされた。ワークショップでは、ハワイのベンダー約40社が参加し、積極的に情報交換をしていた。

 参加者はこのほか、旅程3日目に、ポリネシアカルチャーセンターやクアロア牧場およびカイルア地区、ノースショアといったオアフの定番スポットのほか、来夏オープン予定の「アウラニ・ディズニー・リゾート&スパ・コオリナ・ハワイ」やワタベウエディングの新チャペル「ホヌカイラニ・コオリナ・プレイス・オブ・ウェリナ」などの登場で変化を遂げつつあるコオリナ地区など、計4つのオプショナルツアーから希望コースを選択し、オアフ島の観光スポットを視察。4日目には「JALわくわくアロハ計画」のプログラムを体験した。


最終日の過ごし方で充実度アップも

101111_ghwi_03.jpg この研修旅行の目的のひとつは、いうまでもなく羽田便の利用である。今回は、羽田/ホノルル線を想定し、往路は深夜羽田発のJLのチャーター便、帰路は午後5時55分ホノルル発羽田行きのJL定期便の初便に搭乗。出発日の羽田空港新国際線ターミナルでは、JLのアライバルラウンジや乗り換えカウンターなどを視察し、参加者は実際に羽田発着の使い勝手を体感した。

 まず、従来と大きく異なる要素のひとつは現地の到着時間と帰国日の出発時間である。現地到着は昼頃となるためこれまでの朝到着とは異なり、チェックインまで観光などで過ごす時間が少なくて済む。また、羽田発パッケージ商品では空港から直接ホテルやツアーデスクへ送迎し、その後チェックインとなるツアーも多い。

 また、企画に工夫の余地を与えるのは、帰国日の過ごし方だ。夕方便での帰国となるため、ホテル出発はレイトチェックアウトを手配すれば午後3時過ぎでOK。ホテルでシャワーを浴びるなどして身支度を整える時間を考えても、午前中のアクティビティ参加、買い忘れた土産物のショッピングなどさまざまなことが余裕をもってできる。ワイキキ近くのローカルタウン散策も可能だろう。今回の研修旅行でも自由行動となっていた最終日、参加者はダイヤモンドヘッドを訪れたり、買い物をしたりと思い思いに過ごしたようだ。「空港まで送る道程で観光を組み込むことも考えられる」と、今後の旅程のバラエティの広がりに期待を寄せる声も聞かれた。


羽田便への意見はさまざま

101111_ghwi_04.jpg ただ、旅行会社にとって何よりの最大の関心事はやはり羽田の発着時刻である。首都圏からの参加者からは「羽田便の就航で出発しやすくなった」「仕事を終えてから出かけられるのは何よりの利点」との声が聞かれる一方、地方からの参加者が必ず口にするのが帰国便の到着時間の問題。出発に関しては羽田/成田間の移動の必要もなく、地方便からの同日乗り継ぎによってスムーズになるものの、到着が夜10時では首都圏以外の旅行者は必ず後泊が必要となる。旅行に要する日数が1日プラスになるほか、ただでさえ成田利用より高めとなっている運賃に加え、後泊分の宿泊料金が加算となるのは痛手だ。「需要の多さから強気になっている羽田周辺ホテルの値が下がるとは思えない」との予測する向きもある。

 また、東北南部からの参加者は「新幹線などを利用できないエリアからは自家用車や団体バスで成田へアクセスするのが主流であることは変わりない。周辺の交通渋滞の心配のある首都圏の羽田空港より成田空港のほうが便利なため、羽田線就航による企画、販売の変化はないだろう」と語る。さらに「発着枠の余っている早朝や深夜の便ばかりでは利用者の需要に応えられない。航空行政を大局的に考えなければ、せっかく羽田からの国際線が実現しても意味をなさない」という強い意見も聞かれた。

 それでも、少なくとも首都圏の人々には、アクセスの利便性が向上したのは確か。旅行会社のカウンタースタッフのひとりによれば、メディアの露出が増えている現在は、利便性に関係なく「羽田を利用してみたい」という旅行者の存在も少なくないという。にわかにボルテージが上がった現在の状態を抜けたときどう落ち着くか。しばらくは、メリットデメリット、行きの便の便利さと帰りの便の不便さを天秤にかけ、どちらの人気が定着するかの様子見、という状況が続きそうだ。

 

ホノルル国際空港の国際線到着通路が完成

101111_ghwi_05.jpg ホノルル国際空港内に新たな国際線到着通路が完成、10月27日に空港内で式典が行なわれた。この到着通路は空港3階のエヴァ・コンコースに設けられたのもので、26番から34番ゲートに到着した人々を入国審査場などがあるメインターミナルまで導く。2009年10月に完了した第1期工事分もあわせて約640メートルの通路には3つの「動く歩道」も設置。従来、到着客は「ウィキウィキ・シャトル」と呼ばれるシャトルバスで移動していたが、通路の完成により、冷房の効いた館内をスムーズに移動できる。

 式典で挨拶に立ったハワイ州交通局副局長のジロー・スマダ氏は「同空港を利用する年間150万人の海外渡航者の80%がこの新通路を利用することになるだろう」と述べ、利用者の利便性向上に自信を見せたほか、ハワイ州知事のリンダ・リングル氏は「国際線到着通路はハワイ州内の空港のアップグレードをめざした州内空港近代化計画にとって欠かせない要素」と語った。

 なお、23億米ドルを投じたこの空港近代化計画の一環である国際線到着通路プロジェクトは現在もエヴァ・コンコース2階の26番から30番にて進行中で、2011年9月にはローディングブリッジから3階通路入口にかけてガラスの仕切りが設置される予定だ。

 

アウトリガー・リーフ・オン・ザ・ビーチ
羽田便への対応に意欲、リニューアルでラグジュアリーイメージの浸透へ


101111_ghwi_06.jpg 羽田便への対応として、レイトチェックアウトのサービス提供など、積極的に対応していく考えを示した。コムストック氏は「羽田便利用の場合、ポイントになるのは、出発日のチェックアウトタイムだ」とし、「パッケージ商品については基本的に、各旅行会社との個別の折衝になる」と話す。

 同ホテルでは2009年3月に全館改装を終え、アウトリガー・ホテルズ&リゾーツのフラッグシップホテルとして「ハワイアン・ラグジュアリー」をテーマにハワイらしさと高級感を打ち出した。客室数を900室弱から639室に減らし、客室の広さを従来の1.5倍程度に拡張。大きなバスタブとハンドシャワーを基本装備とし、客室をアップグレードしている。ワイキキにあるもう1軒のよりカジュアルなホテル「アウトリガー・ワイキキ・オン・ザ・ビーチ」との比較においても、今後はラグジュアリーなイメージをますます明確に出していく考えで、日本マーケットにもブランドイメージの刷新とともにラグジュアリーなイメージの浸透をめざしていく。

 リニューアル以前は日本マーケットをほとんど対象としておらず、利用客に占める日本人客のシェアはほぼゼロに近かったが、現在は全体の10%。ファミリーからハネムーナー、シニアまであらゆる客層に及び、日本人コンシェルジュの配置のほか、同社のオフィシャルサイトやJLのウェブサイトからも日本語で予約を可能としたことが、予約数の増加に寄与しているという。ワイキキ・ビーチ・ウォークに隣接してショッピングやダイニングの選択肢が多いのも同リゾートの優位点で、「施設、サービス、アクティビティのレベルの高さに、利用者は一様に驚いている。ぜひ一度訪れて体験してほしい」とアピールした。

 

今週のハワイ50選
クアロア牧場(オアフ島)
カイルア[カイルア・ビーチ](オアフ島)
ノースショア(オアフ島)
ワイキキ(オアフ島)

 

取材協力:ハワイ州観光局(HTJ)、日本航空インターナショナル、
アウトリガー・エンタープライズ・グループ
取材:佐藤淳子