• 体験レポート
  • ライフ&カルチャー
  • マーケットトレンド
  • インタビュー

ライフ&カルチャー:ハワイ発祥、人気のマリンスポーツ「SUP」

注目のマリンスポーツ、スタンドアップパドル
~ハワイで初挑戦したいビギナー向けのスクールも~


110414_hwi01.jpg  近年ハワイで人気が高まっているマリンスポーツが、スタンドアップパドル、あるいはスタンドアップパドルサーフィン、略してSUPである。分厚くて丈の長いボードは安定性が高く、パドルを漕いで進むため、風や波のないフラットな海でも楽しめるとして、年齢、性別を問わずSUP人口が増加中だ。この SUP発祥の地といえばハワイ。今回はSUPが生まれた背景からおすすめスポットまで、ハワイで初めてSUPを体験したい旅行者にとっても役立つ、SUP の楽しみ方について紹介しよう。



古くて新しいスポーツ、SUP

110414_hwi02.jpg  ハワイではSUPは新しいスポーツではなく、実は人気が復活したスポーツだ。そもそものルーツは、日常的にカヌーを漕いで海を渡っていた時代にさかのぼるが、スポーツとしてのSUPは、1960年代にワイキキで毎日波乗りを楽しんでいたビーチボーイズがはじめたもの。デューク・カハナモクに代表される彼らは、サーフィンやカヌーをスポーツとして確立、その魅力を世界中に伝えるのに大きな役割を果たした。こうした流れの中で、サーフィンとカヌーをミックスしたSUPが生まれたのも自然の成り行きといえよう。

 ご存知のように、サーフィンはボードの上に立って波乗りを楽しむスポーツで、カヌーの場合は波乗りだけでなく、座った姿勢で距離を移動できるようパドルで漕ぐことがメインのスポーツである。この2つを合わせたSUPは、パドルで漕ぎながらどこにでも行きたいところに行くことができ、また波乗りも楽しめる点がポイント。ウォータースポーツなのでまず泳げることが絶対条件ではあるが、波のたたない水辺ならゆっくりと漕ぐことを楽しめばいいのでスポーツ万能である必要はなく、子どもや女性でもトライできる。上達するにつれて、バランスの取りにくい波のあるスポットを開拓していけばよい。サーフィン経験者だけでなく、幅広い層に受け入れられる理由がここにある。

 SUPに必要な道具はボードとパドル。初心者は通常3メートルを超える長さのボードを使う。また、パドルは身長プラス20センチが目安で、カヌーで使用するものよりも長い。忘れてならないのが、転倒したときボードが波に流されてしまわないよう、足首にくくりつけるリーシュ。これはサーフィンでも同様で、暴走したボードが他のサーファーに接触すると事故になるので気をつけたい。

 ハワイでSUPのボードを買いたい、という旅行者に朗報なのが、持ち運びに便利な折りたたみ式ボードの登場だ。ハワイでのSUP人気復活の火付け役とも言える「C4ウォーターマン」というメーカーが、空気で膨らます膨張式ボードの発売を開始した。長さは11フィート(約3.3メートル)、重量13.6キログラムで、空気を入れるポンプと圧力計がついて値段は900米ドルから1150米ドル。通常のボードは安くても1500米ドル前後であることを考えると、リーズナブルな値段といえるだろう。



気軽に体験できるSUPスクール

110414_hwi03.jpg   SUP復活ブームの仕掛人は、先に紹介したギアを製造しているC4ウォーターマンの面々で、ボードやパドルを売り込むためにレッスンをはじめたのが5年ほど前のこと。まずロコの間で火がつき、その姿をみた日本人旅行者がそのスポーツの魅力を知った。需要を察知して日本人向けの体験スクールが設立されたのは、ここ1、2年の間の出来事だ。その流れを汲んで生まれた、ハワイで初めてSUPを体験したいという日本人旅行者のためのおすすめスクールを2つ紹介したい。

 まずは、旅行者にとってアクセスが便利なワイキキ・ビーチ・マリオット・リゾート&スパ内にあるスクール「フェイス・サーフスクール」。このスクールは地元紙読者投票で「ベスト・サーフレッスン」にも選ばれたとあって、懇切丁寧なレッスンが受けられる。インストラクターのトニー・モーツ氏は、ビッグウェーブライダーとしても有名なサーファーというだけあり、海に対する知識も豊かで安心できる。

 レッスンの最初には、まずインドアのスクール内で簡単に、パドルの握り方、漕ぎ方、そしてボードへの立ち方など、基本事項の説明を受ける。徒歩でビーチに出て、基本をおさらいしてから、いざ、SUPの体験!ボードに立てたら、実際に漕ぎながら、ターンの仕方、ボード上で歩くことなどを習い、上達度によっては1回のレッスンで波に乗ることも可能だ。トニー氏をはじめとするインストラクターは英語が基本だが、レッスンは少人数限定で、多少の日本語と身振り手振りを交えて教えてくれるので安心だ。

 もうひとつは、「カイルア・セイルボード&カヤック」が実施している、ワイキキからカイルア・ビーチまで送迎付きのSUPレッスンツアー。カイルア・ビーチで遊ぶためのカヤックなどをレンタルしているこの会社では、SUP経験者ならパドルボードだけをレンタルしてビーチで楽しむこともできるが、初心者はガイド付きツアーがおすすめ。

 送迎のバスに乗り、カイルアのオフィスでブリーフィングを受けてから、SUPレッスンがスタート。素足にさらさらと心地よい白砂のビーチで、インストラクターのミカさんから、日本語で基本的な漕ぎ方を習ったあと、青く透き通った海で実際に挑戦してみる。何度か水の中に落ちることがあっても、美しい海で遊ぶ感覚は楽しく、落ちるほどにバランス感覚がついてきて、上達していく。SUPのいろいろなテクニックを教わりながらの1時間30分はあっという間に過ぎる。美味しいランチの後は、またビーチでシュノーケルなども楽しむ時間がある欲張りなこのツアーは、マリンスポーツ派にぴったりだ。



ロコがおすすめのSUPスポット

110414_hwi04.jpg  最後にロコがSUPを楽しむスポットを紹介しよう。波がなく、混雑度も低いアラモアナビーチがダントツに人気が高い。湖か川かと思うようなフラットな海面なので、ビギナーでも立ち上がるのは容易で、ターンや足の動きなどを練習したり、ビーチの端から端までを何度も往復するのに最適のスポットとなっている。

 ここではまさに老若男女、時にペットとともに、ボードを浮かべてゆったりと自分のペースでSUPを楽しむ風景が日常となっている。無理なく楽しめるスポーツという点が、ハワイでのSUP人気復活の、最も大きな理由といえるだろう。そんなハワイのライフスタイルを反映したSUPを、ぜひハワイで体験してみてはいかがだろうか。



今週のハワイ50選
ワイキキ(オアフ島)
カイルア・ビーチ(オアフ島)

 

取材:スミスゆかし