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体験レポート:美しく走るマラソンレース、ワヒネハーフマラソン

女性層の集客が期待できるワヒネハーフマラソン
~楽しく、美しく走るためのレースがハワイに登場~

110512_ghwi_01.jpg  今年4月17日、通称“女王様レース”と呼ばれる「第1回ワヒネハーフマラソン」がホノルルで開催された。米国の他州ではシリーズとして行なわれている同レースは、記録更新をめざすレースとは違い、「楽しく、美しく走る」ことを目的としており、新たな女性ランナー層の開拓に貢献している。ハワイで華麗にレース・デビューを果たしたい女性にとっても格好のステージとなり、旅行会社にとってはスポーツ旅行はもちろん、女性をターゲットにした新しいスタイルの旅行の素材として期待できそうだ。今回はそんな熱くて美しい大会の様子をレポートする。


レース前のエキスポも女性仕様

110512_ghwi_02.jpg 今年ホノルルで初めての開催となった「ワヒネハーフマラソン」の参加資格は、まず女性であること。ハワイ語で「ワヒネ」は、ずばり“女性”という意味で、イベントのコンセプトは、記録への挑戦や単なる健康増進を超えた「美しさを磨き、楽しむこと」だ。コースはハーフマラソンと5キロのランで、5キロだけ男性の参加を認めている。多くの意味で特別なこのレース、今回は全体で2500名の参加者を迎え、大成功に終わった。

 レース前2日間にわたって行なわれたエキスポは、ワイキキの中心にあるシェラトン・ワイキキのボールルームが会場となった。ピンクで彩られた会場には、レースに意欲満々のワヒネたちが大集合。レースに必要なアイテムは、キュートなピンクのバッグに入れられて配布される。気になる中身はレースで付けるピンクのゼッケンのほか、ピンクのTシャツ、スポンサーからのサンプルなど、女心をくすぐるご褒美でいっぱいだ。エキスポにはロゴアイテムやランニンググッズを販売しているブースも参加しており、レース前に買物を楽しめる場が設けられているのも女性向けランニングイベントらしい趣向といえるだろう。


ゴールは美しく晴れやかに

 110512_ghwi_03.jpgレースは朝6時スタート。スタートラインにはピンク色のシャツや、バレリーナのようにチュチュを装ったランナーが並ぶ。歓声とともにスタートするとほどなく日が昇り、文字通り女の熱い戦いが繰り広げられた。

 コースはまずアラモアナ・ビーチ・パークを一周半してから西に向かい、カカアコ・ウォーターフロント・パークを経てニミッツ通りを進み、カリヒ地区で折り返し、カカアコとケワロ公園を経由してアラモアナに戻り、マジックアイランドを半周してゴール、という13マイル(20.8キロ)が用意された。ビギナーでも楽しめるようにとフラットなコース設計の中にも、ところどころにオーシャンビューもあり、ハワイ州以外からの参加者にはうれしい配慮があった。交通規制の問題もあり、制限時間は3.5時間と設定された。

 ゴール前、アラモアナ・ビーチ・パークのマジックアイランドに入る手前で、ピンクのふさふさのボアと女王様の印、キラキラに輝くティアラを受け取る。ボアを首周りにかけ、ティアラはしっかりと頭に乗せたら、女王様ランナーの完成だ。

 ゴールでは、1秒でも早くフィニッシュすることよりも、堂々と余裕の笑顔をつくるのが大切だ。フィニッシュラインを越えたら、まずずっしりと重いメダルを首にかけてもらい、男性から赤いアンスリウムの花一輪を受け取り、シャンペン風にアップルタイザーで乾杯。「FINISHER」の文字をバックグラウンドに記念を撮影して、レースが終了する。この日のマジックアイランドは、ハーフマラソンを「楽しく、美しく」走り終え、晴れやかな笑顔を浮かべた女王様ランナーたちで埋めつくされた。

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ビギナーも気軽に参加できる点が魅力に

110512_ghwi_05.jpg ハーフマラソンは4回目で、昨年のホノルル・マラソンにも出場した地元ランナー、めぐみ・ラシャペルさんによると「女性のレースということもあって男性の応援、ボランティアが多かった。付随イベント満載のレースなので、シリアスランナーもカジュアルランナーも気軽に参加できると思う。今回のタイムは2時間7分28秒だったが、次のハーフマラソンでは、2時間以内をめざしたい」と、感想を述べてくれた。

 一方、ハーフマラソンは今回初めてというミシェル・シンさんは、「とにかくボアとティアラと大きなメダルを楽しみに走った。やる気満々の女性ランナーと一緒に走って、よい刺激になったので、来年もぜひ出たい」とレースを大いに楽しんだようだ。コースは「フラットで海沿いを走ることもでき、とても楽しかった。ただ、ニミッツ通りの陽射しが強く、日陰がなかったのが辛かったのと、ターンが多くて距離感がつかみにくかった」と、少々の難点を感じたようだが、初心者にも走りやすい様子がうかがえる。ハーフマラソンの場合で1万円(早期割引は7500円から)という参加料については、「他の大会に比べると参加料がちょっと高いという気もするが、いろいろ景品があるので納得できる」という意見だ。

 イベントのコンセプトである「走ることは楽しいこと、美しいこと」を十分堪能できたワヒネハーフマラソンは、来年も4月にホノルルで開催が予定されている。今年はハーフと5キロ・ランを合わせて日本から約120名が参加し、マラソン参加を目的にしたツアーも販売された。来年は日本からより多くの“女王様ランナー”を迎えたい意向で、日本語のウェブサイトで情報を発信するほか、現地ではアシストも用意する。商品化がしやすい体制があるといえるだろう。

 

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ワイキキ(オアフ島)

 

取材:スミスゆかし