ワークショップでサービス比較検討-管理システムやウェブサイト運営会社11社が出展

トラベルビジョンITソリューション・セミナー&ワークショップより

ws01.jpg トラベルビジョンでは12月9日、「ITソリューションの有効活用で、旅行ビジネスが変わる!」と題し、セミナーとワークショップを開催した。ワークショップには、予約や顧客管理、出入金管理といった旅行業務を一括して処理する基幹システムや、ツアーと航空券の検索システムなどを提供する企業11社が参加。来場した旅行会社の経営者やIT担当者を対象に、商談を展開した。



業務の要となる基幹システム
カスタマイズとパッケージに大別

 システム会社のアジェンダは3種類の基幹システムを紹介。一つは機能をカスタマイズできる「トラベルエボリューション」で、大規模な旅行の取り扱いに適する。一方、業務渡航用にパッケージ化されたシステム「トラベルマイスター」は、サーバーへの設備投資が不要で導入しやすいのが特徴だ。FITが中心の旅行会社を対象とした「スカイグローブ」は発券機能がなく、月額6000円からという価格を実現した。同社トラベルシステム開発部セールス・マーケティング課係長の田中美穂氏は「旅行の規模を目安に選び分けを」と話す。

 インサイトシステムは、旅行会社の希望にあわせて、画面や機能を最適化して利用する基幹システム「AVION(アビオン)」について説明。このシステムは、各旅行会社が現在使用しているウェブシステムにそのままつなげる方式で、主に100名以上の企業を対象とする。代表取締役の山下徹也氏は、「すべてをユーザー仕様にするため、さまざまなニーズのヒアリングを重視している」と語り、特に「出力する書類の書き出しまでカスタマイズできる」点が好評だという。

 サンクスリンクは、基幹システムの「エスペラント」を案内。旅行会社のジャンルを問わず、予約業務からクレジットやコンビニ決済といった出入金まで、トータルで管理する。同社代表取締役の向後晴行氏は「基幹システムの使い勝手は、機能の多さではなくニーズへの合致がポイント」として、各旅行会社の特性にあわせたカスタマイズを重視。さらに「料金で差別化をはかる」と述べ、コストパフォーマンスに自信を見せる。現在、90社にシステムを提供しているという。


無料セミナーやイントラネット接続
総合的なITサービス提供をめざす

ws02.jpg 日本システム開発は、基幹業務をパッケージ化したシステム「タバサ」、ホームページ上でツアー商品販売を促進するシステム「トリープ」、業務渡航で旅行会社と顧客の交流ツールとなる「フィーノ」という3種類の製品のデモンストレーションを実施した。また、同社で開催する旅行会社向け無料ITセミナーを案内しており、ソリューション本部サポート・サービス部メディア・マーケティンググループの古川研二氏は、「セミナーを旅行会社との情報交換の場にしたい」と語る。

 日本ユニシスは基幹システム「トラベルコンシェルジュ」の認知拡大をめざし、今回のワークショップに出展。サービスインダストリ事業部営業二部の菊川裕一郎氏は「システムにかけられるコストは少なくなっている。旅行会社とともにITの強みを生かした新しいビジネスモデルを構築していきたい」として、旅行会社の顧客サポートを含めたサービスの展開をめざす。また、外出先や自宅のインターネットから社内のイントラネットに安全に接続できるキーデバイス「SASTIKサービス」もあわせて紹介した。

 旅行情報サイト「トラベルコちゃん」を運営するオープンドアは、ホームページやデータベースの作成、ブランディングなどITに関連する総合サポートを提供する。トラベルDiv.チーフ緑川征一郎氏は「旅行商品の掲載だけでなく、どんな課題でも相談してほしい」と語り、ウェブ・コンサルタントとしての認知拡大をめざす考えだ。旅行業からシステム、デザインまで自社内の専門スタッフで運営していることを強みとし、「何から始めてよいかわからない」状況でも予算や要望に応じて提案するという。


ユーザーのニーズにあわせ
検索や予約システムも多様化

 アマデウス・ジャパンは、航空券の運賃検索システム「マスター・プライサー」を案内。このシステムでは、区間と日付を入力するだけで価格順、発券日順、カレンダー表示など、優先事項に応じて運賃を表示する。マーケティング&PR部スーパーバイザーの山田健太郎氏は「サイト構築の中で運賃検索が重要になっている」と指摘し、「旅行会社の多様化にあわせ、多様なサービスが必要」と語る。このシステムでは、安さ、あるいは日程の幅などニーズにあわせた検索が可能で、「速くて確実」が同社の強みだという。

 インフィニトラベルインフォメーションは、BtoBのオンライン航空券予約システム「パワーリンク」を紹介。このシステムを利用すると、旅行会社のホームページからホールセラーが登録した商品にアクセスし、いつでも航空券を予約することができる。商品は複数のホールセラーが提供しており、予約と同時に手配が完了。ホールセラーからのタリフも即座に掲載される。営業部営業戦略グループ主査の伊路見健治氏は、「ホールセラーの営業時間外でも、24時間365日、安価なIT商品を確実に予約できる」と、導入の利点を語る。


インターネットによる双方向の交流
サイトでの集客に期待

ws03.jpg 旅行ポータルサイトのフォートラベルは、「旅行記やクチコミを閲覧後、そのまま旅行を予約」というユーザーの流れを活かし、地域やテーマに沿ったページでの商品アピールや、タイアップ特集による効果的なプロモーションを提案する。事業推進部営業部部長の阪本崇氏は、「会員が実際の体験をもとに旅行の魅力を伝えている」と同サイトのユーザー目線を強調。また「良い旅行記を書くユーザーにはモニターとして行って書いてもらう」といった「双方向の交流」が特徴だという。

 山敷広告制作所は、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を利用した情報発信やウェブサイト制作、サイト集客などにトータルで対応する。また、海外でインターネットに接続できるルーター、「MiFi」のレンタルサービスを紹介。旅行者が利用すると、旅行会社は同社からコミッション収入を得ることができる。経営企画部システム制作課ディレクターの北野祐司氏は、「旅行会社の関連商品は保険やレンタカーに限られているのが現状だが、通信サービスも需要が高まっている。副業的に取り扱いを」とすすめた。

 業務の効率化やインターネットを介した顧客の取り込みなど、進化するITの活用は旅行業に欠かせない。今回のワークショップは、ITの専門用語についても直接担当者に聞くことができたほか、一堂に会した各社のサービスの差異を比較検討できる場となった。