旅行販売の新たな潮流-3社の最新動向 (2/3)

2:グルーポン

口コミ+共同購入で販売効率アップ-「グルーポン・ジャパン」

 今、インターネットで最も期待が高まる販売手法のひとつがグルーポン系サービスのフラッシュマーケティングだ。本家アメリカのグルーポン社が日本の企業クーポッドを買収し、本格的なサービスを開始している。注目は成長性の速さ。同社はアメリカで2008年11月創業、7ヶ月で単月黒字を達成した。さらに、創業からの総売上高10億ドルもわずか2年3ヶ月で達成している。


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 グルーポンは「グループ」と「クーポン」を組みあわせた造語。そのビジネスは、グルーポンでチケット購入した個々人がグループになることで一定数の集客が担保され、1つのクーポンよりも高い割引率で販売できるというシンプルなもの。ただし一定数の集客が担保されるよう、購入者がツイッターで他の人に推薦するという口コミの伝播力を基盤に成立するビジネスだ。また、消費者が代金を支払う先は、実際のサービスを提供する店舗ではなく、グルーポンということも特徴。グルーポンは店舗に対して、SNSでの宣伝に貢献できるという優位性があり、店舗には売上のおよそ半分をシェアする。

 アメリカではじまったこのビジネスは新規参入の障壁が低いことから、すでにヨーロッパや中国でも同種のサイトが数百を超えて展開され、日本でもリクルート、食べログのほか、新聞社などが参入している。

101020IT_2.jpg グルーポン・ジャパン執行役員の野田臣吾氏(WEBマーケティング本部長兼事業開発本部長兼WEBプロデュース本部長)は「良いものを50%以上の高い割引率で提供することに気を配っている。内容はプランナーが厳選しており、消費者に『行こう』というきっかけを与えている」とし、「旅行にも応用していきたい」と旅行分野への進出に意欲を示す。なかでも、交通、ホテル、オプショナルツアーなど単品商品の親和性が高いと見ている。たとえば、ホテルの新規オープンにあわせて展開すれば、消費者の口コミが活発になりやすく、商品の良さが伝わりやすい。アメリカでは乗馬体験ツアーやヘリコプターのレッスン体験などの事例があるという。

 グルーポン・ジャパンでは、東京の某ホテルのコース料理を50%超の割引となる5000円のクーポン券を出し、24時間に665人を集客した。ホテルは来店者にサービスを提供し、1人あたり5000円のおよそ50%をグルーポンから受け取る。上記の例では、約160万円が支払われる計算だ。スタッフの賃金や運営コスト、食材の原価コストは必要だが、従来の広告・宣伝費用を店舗側が支払う形から支払われる側に逆転した。あらゆるコストを換算してマイナスになる場合は「広告・宣伝費と比べて、どちらが良いかを提案することも可能だ」と野田氏はいう。

 旅行会社では、宿泊すると109円がもらえると話題になったトクートラベルがすでにグルーポン・ビジネスに参入し、宿泊施設のほか、レストランにも拡大している。野田氏はこうした状況をにらみつつ、グルーポン・ジャパンが日本の主要都市で展開していることを踏まえ、「宿泊機関と運輸を一緒のクーポンとして組み立てることも可能。そうすれば、地域にユーザーが足を運ぶきっかけになる」といい、地方公共団体や観光局などを巻き込んで地域活性化をフックにしたビジネス展開もできると考えている。