ITソリューションの有効活用(6) (2/4)

クラウドコンピューティングが旅行販売の仕組みを変えるのか?

 クラウドコンピューティングというのは、誰もが使うアプリケーション、演算能力、データ格納領域などを、ニーズに応じて必要な分だけ借りて、使った分だけ利用料を支払うという仕組みである。クラウドを導入することにより、旅行ビジネスのコアの部分である販促や販売に効果を発揮するものではなく、クラウドがビジネスに変革をもたらすのは、まさにそのコア「以外」の部分だ。しかしながら、このコアの部分を支える業務において、日々オフィスで起こるソフトウェアのトラブル、マシンの故障、サーバーの保守作業など、企業にとっては大きな負担になる。クラウドを活用すれば、こういったITのコストや負担を大幅に減らし、本来取り組むべきことに集中できる環境を作り出すことが可能になるのだ。

 クラウドという言葉は最近になって注目をあび始めたが、その技術自体は決して新しいものではない。これまでは、システムインフラを構築・整備するために、多額の初期投資が必要となっていた。しかし、クラウドではそのサービスを利用すれば、その裏で構築されている大規模な設備について思いを馳せる必要もなく、コンピューティングパワーだけを水道の蛇口をひねるような感覚で、手軽に、必要な分だけ使うことができるのだ。

 このように、ソフトウェアからシステム基盤まで、まるで雲の向こうの見えない場所(ネットワーク上に存在するサーバー)からインターネットを通して提供されるようになってきた現象全体を、総称してクラウドと呼ぶようになったのである。


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