ITソリューションの有効活用(6) (4/4)

メールやグループウェアなどの一般的なツールはクラウド向き

 クラウドアプリケーションの導入に一番向いている分野は、メールやグループウェアなどの一般的なビジネスツールだ。これまでに、アウトルック(Outlook)のメールボックスがあふれてしまったり、PCの買い替えでメールデータの移行に苦労した経験があったりするなら、すぐにクラウドに乗り換えるだろう。メールソフトを使い慣れた人には、最初はブラウザ上で全ての作業をすることに抵抗があるかもしれないが、すぐにその便利さに気づくはずだ。

 グーグル・アップスは1ユーザーあたり年間6000円程度のコストがかかる。しかしPCの障害やサポート、メールサーバーの保守管理など、IT部門の負担が大きく軽減できることを考えると、多くの企業ではトータルでコストの削減につながるだろう。もちろん大企業だけではなく、どんな小規模の組織でも十分な恩恵を受けられる。グーグル・アップスは、50名以下の組織であれば利用料は無料なのだ。

 もうひとつ、クラウド型のメールサービスを利用するメリットがある。それは、メールデータの長期間のバックアップが可能になることだ。近年はコンプライアンスの強化のため、従業員のメールのやりとりをすべて一定期間保存するという企業が増えている。その仕組みを独自に構築するには多大なコストがかかってしまうが、クラウドであれば安価なメールのアーカイブサービスが利用できることになる。

次回は、クラウドの導入事例を交え、有効活用について述べていく。